文化庁のたて看板のこと
文化庁のたて看板の文字は何故ヨレヨレなのだろうか? テレビで放映されるたびに、「きっとあれは中気持ちの長官が書いたものではないだろうか。みっともないので、やめたらどうだろう。もっとうまい字で書いた方が良いのではないだろうか・・・とそんな気持ちになっていた。
しかしながら、文化庁のHPを調べてみると、そこには次のような記載があった。
「文部科学省の玄関に掲げられている看板は、新省発足を機に、新規に製作したものである。看板の「文部科学省」の文字は、筑波大学名誉教授で日展常務理事を務めるなど、現在書道界の第一人者として活躍している今井凌雪(いまい・りょうせつ)氏の揮毫によるものである。」
問題の文化庁の看板は書家として著名な成瀬映山(なるせ・えいざん)氏の作品で、日本ユネスコ国内委員会の看板は会長の平山郁夫氏(広島県出身の超著名人)の揮毫によることも判った。
(尾畑注記:「揮毫=きごう」)
「揮」はふるう、「毫」は筆の意。よって、毛筆で文字や絵をかくこと。特に、知名人が頼まれて書をかくこと。
真実を知ると、「へー、あの文化庁の文字は有名な書道家の作品なんだー」となるが、知らなければ、相変わらず私は「やめとけよ!」という気持ちを持ち続けたかもしれない。
でも、まてよ!文化庁以外の看板はまともな文字なのに、なぜ文化庁だけ、へにょへにょ文字にしたのか? 私にはどうしても合点がいかない。
看板の目的はいったい何んだろう。国民や関係者が文化庁を訪問するさい、あの霞が関にたくさんある政府や官庁の建物に無事たどり着き、その建物が間違いなく文化庁であることを示すのであって、何も芸術性を求めなくてもよさそうに思えるのだが・・・。
記事投稿者: 尾畑 達(商2)
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コメント
次のような二つのメールが届きました。本人の了解を得て掲載しますが匿名希望でした。
1)書に芸術性を持たせすぎると、意味を伝える機能が薄れてきて、読めないような作品ができあがります。このような芸術作品を見ると私は行きすぎを感じて高い評価を与えることができません。「文化庁」の文字は明確ではありますが、好感をもてません。
絵画の世界でもデフォルメが過ぎると何がなんだかわかりません。書も絵画も端正な作品がいいですね。
2)「文化庁」という看板の文字はたとえ高い芸術性があったとしても、それを理解するのは書道家やその道の愛好家に過ぎず、一般国民はあの看板を見た時、「何んだよ、あの文字?」と首をかしげているに違いありません。やはり、あれは看板にする文字ではないと思いますよ。
成瀬映山が独自の境地を開いたとしても、私たちが美しいと感じるかどうかは別ですね。私はピカソの鼻が曲がったような絵はどうも好きになれません。フェルメールの絵が数段よいと感じます。
昔、書道を勉強したことがあります。書家には自分が得意とする書体があります。例えば、行書体、草書体、楷書、仮名など、書体がいくつもあり、どれを選択するか迷いましたが、楷書を選びました。運筆も覚えています。
1 起筆(始筆) ・・ 筆のいれ方 45度
2 送筆 ・・・・・筆の運び方 45度
3 収筆(終筆) ・・ 筆の止め方 45度
成瀬映山の作品は明らかに古典美を礎にした難解な行草書です。
一般的には誰でも読める日本ユネスコ国内委員会の平山郁夫のような楷書と違い、古典美を礎にした激しい行書の書風を得意とする成瀬映山という作家に看板の作成を依頼したのがそもそもの原因ではないでしょうか。
楷書は見ていて安心できる優しい文字です。それにも関わらず、古典的な行書文字で我々に理解せよと押し付けるのにはやはり無理があると思います。
投稿: バタヤン | 2012年3月16日 (金) 11時17分
千葉県は最近地震が多発していますね、当方は地震、雪もなく大変恵まれています
看板の件ですが、字体もさることながら私は、三つの看板のアンバランスさが気になります
ところで、先輩はいつも好奇心を持って行動していますね
以前読んだ本で、好奇心をいつも持ってる人間はボケないそうですね
ボケが始まった私はボケ防止に毎朝、新聞の社説欄のみ声を出して読んでいます。
投稿: 神守 | 2012年3月16日 (金) 15時33分
おっしゃる通り、広島は地震も雪害もなく、確かに穏やかです。広島はいいところです。一方、昔から静岡が日本で一番住んでみたい土地として知られていました。しかしながら、いつ発生してもおかしくないと言われる東海・南海・東南海地震は日本の太平洋ベルト地帯を襲うM9の恐るべき超巨大地震だと言われています。
震源上の浜岡原子力発電所がかかる地震によって爆発した場合には日本が再起不能状態に陥る恐れがあるとさへ報道されています。恐るべき超巨大地震に、どう備えたら良いのでしょうか?
先日も千葉の銚子沖で震度5強の地震に見舞われました。私が住んでいる佐倉市は内陸なので、地震の影響は皆無でしたが、強い揺れには気分が悪くなります。しかも、ほとんど数日おきに体感する余震には慣れて来たとはいえ、不安な日々を過ごしています。液状化被害も浦安をはじめ千葉県のあちこちで発生しており、心配です。
三つの看板の件ですが、確かにアンバランスを感じるのは私も同じです。
好奇心を持つのは私の性分です。好奇心だけでなく、加齢と共に猜疑心も強くなり、すぐに「かー」となってしまいます。このままだときっと脳溢血でやられてしまうでしょうね。
新聞の社説欄を声を出して読んでいるとはご立派です。学生時代、中山守昌(商3)さんが英字新聞の社説を声を出して読みながら暗記していた事を思い出しました。
投稿: バタヤン | 2012年3月17日 (土) 09時20分
テレビに映った看板の文字が気になって検索して辿り着きました。
個人的には日本ユネスコの看板の方が文字の向きが不ぞろいでバランスの悪さが気になりました。
余談ですが、書と揮毫というか、看板の文字は少しノウハウが違うようで、書として揃っているかと言う事とは別に、掲げた姿で下から見あげてそこに書いてある事が解りやすく、かつ書いた時点では不揃いに見えて
上げて下から見ると揃って見えるように書くとか。そんな話を今から35年くらい前に横浜でも有名な揮毫と書を両方やってる先生から教わりました。
投稿: さえちゃん。。 | 2014年1月16日 (木) 09時24分
もっと美しい、スッキリとした字で、気持ちの良い字、世界の人々に自慢出来るような字を看板の字とすべきだと思います。あの字では情けない。
かつて書道を教えたことなある私は、自信を持って言いたいと思います。
投稿: 登坂 勉 | 2014年10月28日 (火) 13時58分